孤島
例え今一人取り残されたその場所が、遥か彼方離れた、陸の孤島であったとしも、
孤島にも風は吹き、雨が降り、草が生え、花が咲き、星は輝き、陽はまた昇る。
例えそこで、深い孤立に苛まれ、息をするのも苦しい程の、切迫感に追い詰められていたとしても、
木々が、あなたと共に語り
花が、あなたと共に踊り
鳥が、あなたと共に歌い
陽が、あなたと共に笑い
雷が、あなたの代わりに怒り
雨が、あなたの代わりに泣き
風が、あなたの代わりに迷い
月が、あなたの憂いを癒し
星が、あなたの憂いを照らし
宇宙の景色が、あなたの憂いを一時忘却させる。
それらはまるで、
呼吸をし、
感情を持ち、
各々が意思を持ちながら、
あなたが今、何を感じ、何を考えているのか、その全てを知ってくれているかのように傍に来ては、優しく寄り添ってくれる。
もし、苦しみの最中にいるあなたが今、目の前の出来事全てが、他人事のように感じ、
自分が今、ここに生きているという"現実"そのものを失っていたとしても、
目に映る花の彩り
耳で聞こえる風の音
鼻で感じる土の匂い
皮膚で受け取る陽の温もり
五感を通し伝わる、その自然界の愛と受容のエネルギーは、決して夢でも幻でも頭の中の空想ではなく、
また、心の奥から沸き起こる、自然界への畏怖や畏敬の念も、
それら強烈に揺さぶられる心の動き全て、覚醒された意識の中の"現実"である。
精霊?八百万?
孤島での生活に疲れ果てたあなたは、無理してそこに、神や魂のようなものを見いだす必要もなければ、何かを無理矢理に祈ろうとする必要もない。
自然と共に生き、
自然に生かされ、
支え見守られている事、
ただ五感でそれを感じ、そしてただ受け取ればそれでいいのである。
それはゆっくりと私達に、今この瞬間を"生きている"という確かな"現実'を戻していく。
「母なる大地 父なる空」
そこがどんな遥か彼方陸の孤島であろうとも、そこに"地"があり"空"がある限り、
私達はいつでも支え見守れ、そしていつでもそこに"帰っていく"事が出来るのだ。
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