balance・・・

あなたは、大きく上に伸ばした幹が象徴する"自信"以上に、少し疲れたように頭を垂らし、私達の目には見えぬ所で、土の下へと沈むように根を張る"謙虚"を併せ持つ。

そんなあなたの姿に内省を促され、何度も繰り返される自問自答の中、自信という言葉に謙虚さを見失い、また謙虚という言葉に逃げて、自信を持って幹を伸ばす事を恐れてばかりいる自分に嫌気が生まれ、

また、音が静まり視界がボヤけた闇の中、おぼつかない私の足元は、更にバランス感覚を失っていき、心はそこに生まれる揺れと迷いに戸惑い、呼吸は乱れ、次第と全体としての統合を失っていく。

私は、そんな自分を、少し落ち着かせようと一つ息を吐き、地に足をつけ、虚ろな視線を前方一点に定め集中しようと試みる。

視線の先に映るあなたの姿は、一見すると、とても力強くありながら、目に入るその姿は、お世辞にも真っ直ぐ綺麗に一直線という訳ではなく、見た目に大きな歪みもあれば、痛みもあり、時折聞こえる、葉を擦るように奏でる音には切なさが内包する。

それはこの世の万物の中にあり、バランスと調和を象徴し、力強い者とされているあなたでさえも、吹き付ける順風ばかりでない風達を、根を張り、深く耐え忍び、その枝葉で必死に受け止めながら、懸命に生きてきた事を、隠し切れない雰囲気として醸し出している。

例えどんなに不器用に上に伸び、
例えどんなに不揃いに曲がりくねり、
例えどんな恐風に吹かれていようとも、

変わらぬ姿勢でそこに在り続けようとする、あなたのその芯の強さに触れた私の心は、まるで、一つの気付きを得たかのように、そこで少し安心し、気持ちの迷いは収まり、身体の揺れも、呼吸の乱れも、一つの調和された状態へと向けて落ち着いていく。

また、あなたはいつも、肩を並べて視線を合わせるように寄り添いながらも、まるでもう一つのあなた自身か、少し高い場所から、俯瞰するように全てを見渡している。

故にあなたは何でも知り、何でも見通し、例え私が、道に迷う事があったとしても、そこに地図を広げる迄もなく、何処に何があり、そこに向かうに為には、どうしていくのが良いのか等、私達に行き先までの道案内を、気付きやインスピレーションとして届けるてくれる。

しかし、そんなあなたがどうしても教えてくれない事が一つある。

どんなに私がその答えを導き出す事に苦闘しようとも、どんなに私がすがるように、それを尋ねようとも、あなたは決して"答え"としてそれを与える事は無い。

それは、あなたから私への"厳しさ"でありながら、またそれこそが、私への最大の"愛"であると受け止めている。

普段は特に気に留める事もなく見過ごし続け、こんな時ばかり都合よく保護を求めに行くのも、はっきり言って御都合主義もいいところだが、それでも取り残される私を決して見捨てる事なく、あなたはいつもそこに居てくれる。 

側に立ち、鼻から入る匂いはどこか懐かしく、手の平から伝わる感触は、私の郷愁を心の奥深くで揺れ動かし、忘れかけていた私の生まれや育ち、ルーツの記憶を想起させ、私は安心した気持ちで、自分の事を語り掛ける。 

"人"見知りの私が、そうやって緊張する事なく語り掛ける事が出来るのは、そこに居て顔色、動き一つ変えずに、話しを受け止める、その、あなた自身の包容力であると同時に、きっとあなたが"人"ではないという事実が、そこにあるからなのであろう。

もし、こんな私であったとしても、
あなたのような芯の強さを得られる事が出来

もし、こんな私であったとしても、
あなたのような優しさと、愛の力を備える事が出来、

もし、こんな私であったとしても、
あなたのようにそこに実をつけ、花を咲かす事が出来るのなら、

いつか屍として、あなたの下で眠りにつき、いつか人ではない、あなたとして生まれ変わるのも良いかもしれない。

Yoga Inclusive

決まった形も無い。囚われも無い。 泉のように湧きおこるその"慧"の力は、 無数の"言の葉"となりながら、 紡ぎ繋がり大きく広がっていく。 根を張り、大地と繋がり、力強く。 見上げた空の如く鮮やかで、美しく。 たった一つの我なる"泉樹の花"。 その実は、今ここに成っている。 全ては認め、愛され、受容されながら。

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