弱気の一歩

早くここから出たいのに、
早く扉の向こうに飛び出したいのに、

鍵穴が錆びてて回らない
建てつけが悪くて、扉が開かない。
誰かが向こうで扉を抑えてる。

暗くて、狭い。
怖くて、不安。
寂しくて、涙が止まらない。
誰か助けて、何で自分だけ・・。

あなたは、扉の奥で必死に抗い、必死に抵抗する。

"本当は扉なんてそこに無いはずなのに・・。"


また、あいつが追ってきた。
逃げても逃げても、しつこく追ってくる。
隠れても、隠れても見つかってしまう。

胸が苦しい、息が出来ない。
もうこれ以上脚が動かない。

腕を振り、歯を食い縛り、
あなたは、あなたを追うものから、必死に逃げ惑う。

"本当は誰も追ってなんかきてはいないのに・・。"

あなたは、あるはずもない扉の奥で狼狽し、
いないはずの追っ手から、何故か逃げ惑う。

あなたは気付いているはずだ。

目の前のパラドクスの渦に、ひたすら混乱をしながらも、どこかそれら全てを俯瞰的に見ている自分がいる事に。

偽わらなくていい。
正直になっていい。
 
あなたは、そこから進めないのでは無く、
あなたがそこに留まっている。
 
あなたは追われているのではなく、
あなたが自ら向かっている。

あなたは恐怖を避けるため、自らそこにぶつかり、

あなたは安心したいが故に、不安を手放さず、

あなたは満たされていたいからこそ、満たそうとしない。

笑えないのではなく、
笑わないのであり、

あなたから涙が流れているのではなく、
あなたが涙を流しているのだ。

あなたの中の"制御"のベクトルは、正しくあなたに向かっていると言えますか?

あなたが、あなた自身に、"正直(サティア)"の教えを背いてはいませんか?

あなたの中の"目的"は、あなたの真実に基づいたものだと言えますか?

あなたはその偽りを"言い訳"に利用していませんか?

あなたは見えているはずだ。
扉を抑えつける人影も、
あなたをしつこく追ってくる何者かも、
あなたを閉じ込め、圧迫し、追い詰めるもののその正体は、紛れもなく"あなた自身"そのものであるという事を。

本当はどうするべきか、
本当はどうしていきたいのか、
一生懸命言い聞かせるかのように何かを学び、頭でそれを分かったつもりになった所で、行為の伴わない"分かったつもり"の知識は、結局何も分かっていないのと同じ事である。

知行合一。
知識と行為も本来なら一つに繋がりあっていく中、言葉と思考と行動は、他者にも自分にも"正直"にそれらが一つに繋がって、心は初めて穏やかな状態へと向かっていく。それがまたサティア(正直)の教えでもあるはずだ。

あなたに今必要な事は、
偽る為に、隠す為に、防衛する為に、頭の中で言い聞かせるばかりに浪費する事ではなく、まずは自分に正直に、真実へ向かって、"行為"としてその一歩を前に踏み出していく事。

偽る事に慣れたあなたは、
偽りを手放し、真実へ向かう事に対して
大きな不安と恐怖を感じかるもしれない。

「失敗したくない」
「恥をかきたくない」
「傷付きたくない」と。

幾多の声がまたあなたの心を揺らし、
幾多の幻想がまたあなたの視界を惑わす。

人間の根本は、簡単には変わらないかもしれないし、それはあなたに染み込むように根付いたものであれば尚更のこと。

それでも私はあなたに、一貫してこう伝え続けていきたい。

「安心していいんだよ」と。

それは力強い勇気の一歩なんかじゃなくて
もいい。揺れた心に生じる、恐怖と不安を背負った消極的で弱気な、おぼつかない一歩になってもいいし、躓いて、失敗をしても、恥を感じても、それは決してあなたの傷になるものでもなければ、あなたの存在価値が否定されるものでもない。

何故なら、あなたが抱く偽りは、決してあなだだけの問題でもないし、あなたと同じく、多くの人がその偽りを抱え、誰もがその偽りの中に生き、誰もがその偽りにもがき苦しんでいるのだから。

人は決して敵でもなければ、
あなたを欺くものでもない。

共通の課題を持つ"仲間"としての繋がりがあり、だからこそ、人は支え合い、寄り添い合い、知恵を出し合い、力を合わせて、歴史を紡ぎながら、ここまで発展をしてくる事が出来たのではないか。

自分に正直に、他者に正直に、決して偽る事なく、その一歩をまずは踏み出して、仲間への貢献、仲間との繋がり、そこで感じる優しさ、思いやり、達成感。穏やかな心の中で、意識を広げて、視野を広げて、気がついて欲しい。

この広い広い宇宙の中で、あなたがそこに居てはいけない理由等どこにも無ければ、あなたがそこに居るからこそ、成立し得ているものがこの世の中には沢山あるという事を。

あなたは、これ以上偽りを重ねる事に必死になる事もないし、扉の奥で不安と孤独に駆られる事もない。

まるで重たい荷物を降ろしたかのように体の緊張は解かれ、まるで酸素を味わうかのように呼吸は深くなり、どんな苦しみも、どんな恐怖もまた、必ず受容へと向かっていくものなのだから。

あなたが本来向かうべき望ましい未来は、今踏み出す、目の前のその小さな一歩から広がっている。

そしてその一歩は、常にあなた自身に委ねられている。

あかの他人も
親密な仲間も、
遠い親戚も、
近い身内も関係ない。

背負った宿命も
生まれた時代も
属する社会も関係ない。

今この瞬間、あなたの意志と選択で、
その道はいつでも開かれていくのだ。


Yoga Inclusive

決まった形も無い。囚われも無い。 泉のように湧きおこるその"慧"の力は、 無数の"言の葉"となりながら、 紡ぎ繋がり大きく広がっていく。 根を張り、大地と繋がり、力強く。 見上げた空の如く鮮やかで、美しく。 たった一つの我なる"泉樹の花"。 その実は、今ここに成っている。 全ては認め、愛され、受容されながら。

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