生命のリズム

"それは時として、壁となる"

発するものも、受け取るものも、全てを遮るものとして、立ちはだかり、四方八方、あなたの身動きを封じ込む。

そこにあるのは、根源的な無知なる"無"の世界。

見渡す限り、音も形も言葉もなければ、何一つ語られるものも、何一つ映し出されるものもそこには無く、何一つとしての響きも存在しない。

空間はまるで置かれた箱の中身のように乾ききり、
大地は息を引き取るかのように沈みこみ
風は不穏なる邪気のようにまとわりつき、
水は悲嘆の溜まりのように澱みゆく。

あるべきはずの、本来的なものは、漆黒の炎に掻き消され、吸い込む煙に咳込むあなたは、呼吸のリズムを乱され、遠のく意識と、霞んだ視界に、ありのままの心の姿を見失う。

生まれる壁への破壊の衝動。
期待通りにならぬ気持ちの焦りは、壁を更に分厚くし、無理に破壊を求める程に、闇は更に深くなる。

下へ下へと陥るような、分厚い無限の深みの世界は、やがて破壊を求める気力も、どうにかならぬ焦りの感情さえも、全てを飲みこみながら、あなたを"怠惰"の渦へと引き込んでいく。

"それは時として、扉となす"

怠惰に溺れ、厚みを増す壁の姿に気力を失うあなたは、いつしか、あるはず無い一つの扉を壁の中で幻想する。

そこにあるのは、あるはずない扉であるが故、あなたは扉の向こうの世界を、一切見た事ないにも関わらず、脳裏に浮かぶ浅はかな解釈に惑わされ、扉の向こうと、こちらという2つの世界が、今ここに在る事を判断する。

扉のこちらに、光が届かぬなら、
光はきっと扉の向こうを照らすはずであり、

扉のこちらが光を浴びていないのなら、
扉の向こう側は、きっと光を浴びているはずであり、

扉を開ける事が出来た者は、扉を開ける事を許された者

扉を開ける事が出来なかった者は、扉を開ける事を拒否された者、

そこには、優が有り、劣が有り
そこには、勝があり、敗が有り、

そこは隔たれ、分けられ、対なる明と暗を象徴するのだと。

その隔てた2つの世界は、まるで壊れた定規のような歪な尺度で比較をされ、そこから生まれる、妬み、嫉みが、心を激しく喧騒させていく。

誰かのせい、何かのせいと、あるはず無い、開かずの扉は言い訳となり、自分で自分を守りたいが為の、本来的な役割からかけ離れたものが、やがて自らの使命であるかのように錯覚させられていくのだ。


"それは時として、姿を持たぬ"

あるはず無い開かずの扉に、途方に暮れたあなたは、そこに倒れるように仰向けになり、不意に視線を上にあげる事となる。

視界に飛び込む、満点の青空、
空間を彩る、色めく紅葉。

肌を刺すかの如く冷たい高野の風と、風になびかれ、大地に散りゆく葉吹雪に、いつの間にかの秋の終わりと、冬の訪れを実感する。

麗かな冬の日差しが、次第と心を覆う靄を取り払い、そこには、雲一つ無ければ、分厚い壁や、開かずの扉の影もない。

あなたの心は、まるで波が収まるように、落ち着きを取り戻し、澄んだ心の水面には、この世に備わる自然の生命のリズムが共鳴する。

まるで、
水のリズムが生命を循環させて、
火のリズムが生命の種火を燃えあがらせ
風のリズムが生命を言葉として運び、

大地のリズムが生命の母となり、
空のリズムが、そんな私達の生命そのものを見守りながら。

各々奏でる生命のリズムが、無心に、歌い、踊り、語り合い、この宇宙という無限のホールの、地球という舞台の上で、一つの旋律として調和をしていくように、私達は皆、同じ舞台の上で、同じ陽の光に遍く照らされ生きている。

そんな唯一無二の事実において、まるで泉が湧くかの如く、自然の理として解き放たれた、そのあるがままの光景は、遮るものも無ければ、全ては融け合うかのように、こちらや、向こうといった区別は無く、

それを受け取るあなたの意識もまた、まるで環境に応じて、蒸気や氷と姿を変える水の性質の如く、融通無碍に絶えず変化を繰り返していく。

ある時には、壁になり
ある時には、扉となり
それぞれ翻弄しながら、

ある時には、ふと姿を消して純粋な姿に立ち戻り、ある時また、それが壁となって自分の前に立ちはだかっていきながら。

自然の循環、春夏秋冬、季節の巡りの如く、そこには決して、抗い、逆らう事等出来ない、無常といえる原理が存在し、その原理において、確信をもって断言できるものは何も無いのかもしれないけれど、それでも不確かな変化がそこにあるからこそ、同時に、初めから全ての可能性を閉ざすものも、また存在はしない。

まるで、さえずるような小さな鳥が、大きな羽根を広げて、優雅に空を舞うように、

まるで、1本の木が枝葉を自在に空へと伸ばし、幾多の花の姿を表現しているように、

あなたという一人が刻む、自由な意志と選択も、全ては一如に繋がり合う、この地球という大きな舞台の上で、かけがえない、唯一無二の"生命のリズム"として躍動していく。

ある日突然、舞台の幕を降ろしてしまう判断はどこにも必要無いし、

疑い深く澱んだ迷いの心も、いずれ素直で清らかなる洞察心へと展開し、

湧き立つ焦りや、嫉妬の力も、やがて不安や恐れに勝る、旺盛なる興味関心へと移ろいゆくだろう。

例えあなたの今いる場所が、
遠く離れた陸の孤島や、暗くて狭い井戸の中であろうとも、

例え、あるはず無い扉があなたを錯覚させて、

例え、四方八方、大きな壁に身動きを封じこまれているように感じていたとしても、

私達はいつでも、その備わる躍動的な"生命のリズム"に乗って、

自由自在、壮大なる"人生"という名の音色を、この宇宙という無限のホールに響かす事が出来るのだ。


YOGA INCLUSIVE

大地と共に、力強く。 見上げた空の如く、鮮やかで美しく。 たった一つの我なる"泉樹の花" その実は、今ここに成る。 全ては認め、愛され、 そして受容されながら。

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